発行2007年1月15日 文責：染野 恭満
皆様新年おめでとうございます。街角瓦版を今年もよろしくお願いいたします。
今年は日本ではイノシシ年です。中国も同じ干支を使っているのですが、あちらでは猪は豚の意味なので豚年です。友人からは可愛い豚の絵が描かれた年賀カードが届きました。
なお、豚は滅多に猛進しないので、中国には「猪突猛進」という成語はないようです。
また、聞くところによると、豚年生まれの人は食べ物と着る物に不自由しないとかで、縁起が良いとされ、中国では今年の出産が増えそうだとのことです。
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私の友人の家庭でも、車を持つところが増えてきました。北京などの大都会で自分で商売等の事業をされている方です。一般のサラリーマンの友人で持っている人はまだいません。
北京市統計局によりますと、2004年末の北京市の車両は１８７万台でした。それが、昨年１２月２８日付け新華社の報道によりますと昨年１１月末の時点で、２８５万台とされています。
この２年間で１００万台（約５２％）の増加！
そして、毎日１０００台以上のペースで増え続けているそうです。
今まで自転車やバスで通勤していた人が、車を使うようになるのですから、当然一人当たりの道路の占有面積は増えて混雑がひどくなります。
朝夕の渋滞はひどくなる一方ですが、北京市内だけでなく、近隣の観光地も休日は車で一杯です。日曜日には八達嶺長城に向かう車で、高速道路が渋滞します。これらは以前日本人も経験してきた事です。多分中国沿海部の大都会では、どこも同じ現象が起きていることでしょう。
2006年、中国の新車販売台数は、７２１万台。日本の５７４万台を一気に抜き去りアメリカに次いで世界２位になりました。
この急激なモータリゼーションには、なによりも中国人世帯の所得増加が影響していますが、その他に彼らの新し物好き、メンツ（あそこが買ったのだから家も）、旅行好き、手頃な自動車価格（日本の軽自動車クラスで６０万前後）の結果ではないかと思います。
一方、全国の保有台数を見ると2006年末時点で、4000万台弱と推計され、日本の7900万台の半分程度にしかなっていません。単純に計算すると人口割的にはまだ日本の1/20程度にすぎないという事になります。
これはすなわち、中国の自動車普及は始まったばかりで、今後しばらくの間はこの状況が継続するということを意味します。日本のメーカーが争って大陸に進出するのも当然、私のサラリーマンの友人が自動車を購入する日も近いでしょう。
間違いなく都会の中国人の生活様式は、日本人がいつか来た道を辿っています。
しかし、交通のインフラは、車社会の進行速度について行っていないと思います。
大都会の幹線道路は一応整備されていますが、北京でも一歩横道にそれた胡同と言われる横町は、狭くて車のすれ違いもままなりません。駐車場も足りなくて、家の道路に停めている人おかなりいます。農村部では道路の質の悪さが目立ちます。アスファルト１枚のてんぷら舗装の上を積載オーバーのトラックが走るのですから、すぐに凸凹になってしまいます。
さらに、中国を旅行された方は、運転マナーの悪さにも気が付かれた事でしょう。
中国語で交通渋滞を「堵車（ﾄﾞｳチャー）」と言いますが、「堵」は塞ぐという意味でこの言葉の通り、隙間があれば車を突っ込んで、片側一車線に３,４台も入り込み、それが両側で起こるので、道路をお互いに塞ぎあい、にっちもさっちも行かない状況がしばしば出現します。
時間と燃料と設備の非効率な使用。これらの問題の中には根が深いと思われるものがあり、解決には時間を要するため、中国車社会の進行に一定のブレーキをかける事になるでしょう。
昨年寧夏回族自治区銀川市の紡績工場に友人を訪ねた折、工場の従業員の勤務や待遇状況について話を聞きました。
それによると、給料は一般従業員で１ヶ月５００元(約7500円）、支払は２ヶ月先（辞めた ときには２ヶ月ただ働きになる可能性がある)、また保険はないので、病気になったらどうしようと思いながら働いているとの事でした。
勤務時間は朝７時から１１時、１１時３０分から４時、４時３０分から夜の１０時の３区分となっており、どの時間帯で働いてもOKで、働きたい人は２回働いても良く、その場合は給料は倍になります。但し、工場に空調設備はなく、冬寒く夏暑いので、連続した時間帯ではなかなか働けないそうです。勤務条件について文句を言うと、すぐ首になってしまうとこぼしていました。製品は全て輸出用で、アメリカ、ドイツ、日本などがお得意さまだそうです。
アメリカに輸出する製品のタグを見せてもらいましたが、MADE IN CHINA の記載はなく、あたかもアメリカ製の様な表示になっていました。
日本のカシミヤ製品も、彼らの嘆きの上に作られているかと複雑な気持ちになりました。
３ 中国空港サービス事情（オリンピック近し。服務はこれで良いの？）
中国では数年前、乗客への何らの予告なく、安全対策を理由として飛行機への酒類持ち込みを禁止し、私はお土産を失いました。学習効果がなくその後も一度没収されています。
昨年、上海経由で北京に行った時、日本からは酒を持ち込めるのでうっかり持って機乗してしまいました。すると上海空港で国内線に乗り換える際、酒をトランクに詰め替える事がままならない状況になり、三度目をやられたかとほぞを噛みましたが、一計を案じました。
実はちょうどその時、免税店で菓子を買って持っていたので、菓子を袋から出して代わりに酒を入れ、免税店で買ったような顔をしてぶら下げて手荷物検査に臨んだのです。
するとなんと、係官は何も言わずに通すではありませんか！
免税店で買った酒は乗客に安全で、それ以外で買った酒は危険だということはないと思うので、乗客への安全配慮という理由に疑問を抱かざるをえません。
何のために誰のために、規制しているのかは読者の皆さんのご想像に任せますが、中国の玄関口とも言える空港で、こんな事が、もっともらしい口実をつけて行われており、誰もそれを改めようとしないという根本的なところに、問題があると思います。
来年オリンピックで多くの方が中国を訪れるでしょう。その際、中国では旅客への基本的なサービス精神が欠如しており、金儲けの事しか考えていないと思われてしまっては、せっかくの国家的ＰＲの機会が台無しです。
中国の空港はそれでなくとも、係官の態度が高圧的でいやなところです。
オリンピック前には是非、空港係官の接客マナー向上の研修に取り組むべきだと、中国政府にご提案申し上げたいと考える次第です。